ATFの役割
オートマチックトランスミッションには、オートマ車のいろいろな機能を装備しています。
その機能に重要な役割を担うのがオートマチックオイルです。
- 動力伝達作用 (トルクコンバーター部分)
- 油圧制御作用 (制御バルブ部分)
- 潤滑作用 (変速機部分)
- 摩擦制御作用 (クラッチブレーキ部分)
ATFの働きについて
オートマチックは、トルクコンバーターとプラネタリーギア(遊星歯車)と呼ばれるギアケースを組み合わせて変速する装置で、クラッチが入っているところもマニュアルミッションとは違っています。構造上から、使用するオイルも要求される性能も幾分異なります。
また、一般にはATオイルという事も多いがAT用のオイルはATフルードと呼びATFと省略して表していることはすでに知っていると思います。ATFはトルクコンバーターにおける動力伝達媒体であると同時に、油圧制御装置の作動油としての働きをします。
加えて、冷却する為の熱の移動媒体となり、ギアクラッチの潤滑油の役も担います。要求性能は、粘度が適正で流動性が良いこと。トルコンオイルとしては10Wくらいの低粘度が望ましいですが、ミッション部ではギアやベアリングの潤滑に適した粘度が要求されます。低温流動性が良くないとクラッチ板が加熱して損傷を招きます。ATFは各部を高速循環しているので高温での安定性も過大だ。その他、極圧性、消泡性、せん断安定性、防錆性、オイルシールとの適合性など、ギアオイルに要求されるすべての性能を兼ね備えていることが必要なのです。
ATFの規格
ATFにはギアオイルのようなAPIサービスに相当する分類はありません。それは、現在までのところAPI(米国石油協会)やSAE(米国自動車技術会)のような公的機関によって定めた規格がないからです。
しかし、アメリカ自動車メーカーが制定している品質規格が通用しています。主なものには、乗用車や小型トラックに適用しているGM規格やフォード規格があり、大型トラックやトラクターにはデトロイトディーゼル規格というものもあります。
その中でATF2大規格とされているのが、GM社のDEXRON-Ⅲ とフォード社のMERCONです。
さらにGM社のALLISON C-4やキャタピラー社のTO-2の規格基準を満たしていると、ほとんどの車に適用出来る万能ATFという評価が得られます。
●GM規格
DEXORN-ⅢH
DEXRON-Ⅵ
●FORD規格
MERCON
MERCON Ⅴ
最近の規格の動向
今までは上記のようなDEXRON(GM)規格・MERCON(FORD)規格が市場を独占してきました。
最近では国産純正メーカー品(TOYOTA・NISSAN・HONDA etc)及び外国メーカー(BMW BENZ etc)はDEXRON規格及びMERCON規格を取得しないで、独自のATF(純正指定専用油)としてATFを供給しています。
ATFを選択する際には、それぞれの規格に適合しているか、確認することが重要になってきています。
DEXRON-ⅢやMERCONのATFは、赤色に着色することが義務づけられているために、両規格基準に認定されているATFは赤くなっています。
ドイツで生産されているVW メルセデス ベンツは規格が違う為に着色しておらず、本来の色である淡黄色になっています。
軽自動車のATFはなぜ早く汚れるのだろう
ATシステムにはラジエーター内部に専用のオイルクーラーが設けてありますが、軽自動車は容量が少ないので冷却能力が不足しやすく、ATFの温度が高くなると考えられています。
エンジンのトルクが小さい為に高回転域でATが使用されることが多いこともATFの劣化が早く進む原因ととなっています。
カーメーカーの基準では、軽自動車のATFは普通車の半分の走行距離で交換することを薦めています。
ATF交換はなぜ2万から5万kmなの?
エンジンオイルは空気中のごみや水分、ブローバイガスなどが大量に混入するために短時間の交換サイクルが必要です。
ATは外部から異物が混入することはありません。
しかし、ATシステム内部のクラッチやギアなどの摩耗粉、さらにATF自体の劣化によるスラッジが次第に増加してくるので、2万から3万kmで交換することが推奨されています。
長距離無交換の車はATFを交換しないほうがいい?
走行距離5万km以上、長期にわたってATFを交換していない車は、ATシステム内部にATFの劣化によるスラッジや摩耗粉が付着しています。
そんな状態でATFを交換すると、清浄作用によって異物が洗い流され、狭い隙間に噛み込んで故障の原因をつくることがあります。
また、すでに変速ショックや加速不良、燃費低下といった症状が発生していることも多いです。そんなことから長期無交換の車はあえてATF交換をしない方が無難だとされています。それでもATF交換したいという場合は、故障が発生する危険性が高いことを認識しておく必要があります。
長距離使ってたATFの方が変速ショックが少なくなるような気がする?
ATシステムは、ATFの油圧がある値を超えると変速する仕組みになっています。
粘度が低いオイルでは油圧が低下しているので、油圧を一定まで高めるにはアクセルを踏み込んでエンジンの回転数をあげる必要があります。
つまり、変速するタイミングには通常よりエンジン回転数が高くなっているので変速ショックは大きくなる、ということになります。